
K-TOWN・K-HALL街に溶け込む単身寮
03_住宅としても先進的な居住棟
床にレベル差と傾斜天井をもつ寮内部(C街区)
都市型のA・B街区、田園型のC街区
K-TOWNの100戸の単身者住宅はA、B、Cの3街区に跨ります。A・B街区は都市的な環境にあり、C街区は田園的な環境にあります。建築計画は敷地条件の違いを最大限反映されており、A・B街区では周りの住宅や施設と協調的かつ控えめに計画され、一方、C街区では片流れ屋根を戴く木造の「家」が公園のような豊かな植栽のなかに自由に配置されています。A・B街区は周辺に敬意を払いながら一体となって環境を形成する「介入」モデルとも呼ぶべき整備手法で、既成市街地の開発手法として新たな一石を投じるものとなっています。
快適なワンルーム
先端的な建築では大開口が好まれますが、折角大きい窓を取っても一日中レースカーテンを締め切ることも多いでしょう。単身住居ともなると昼間は留守がちで、防犯的にも外から中が見えやすい大開口は好ましくありません。本計画では、窓の大きさを小さくする代わりに開口の数を増やし、様々な高さに配置しました。その結果、目の先に必ず開口があり、外観からは創造できない開放感を得ることができます。C街区では2階の床にレベル差を設け、30㎡のワンルームに変化をつけ、さらに豊かな空間を実現しました。
将来の変化に対応する工夫
建築基準法では、複数の建物を建てるときに敷地全体をひとつの団地として扱う方法(一団地申請)がありますが、K-TOWNでは将来的に各住居ユニットを独立して処分したり改変したりすることができるように、それぞれのユニットを接道した個別の敷地に建設し、建築基準法上独立した建築物としています。
また、建築後の改修が難しいRC造のA・B街区の居住ユニットでは、隣接住戸や上下の住戸を連結しても使える様に、戸境壁と床の一部を木造とし、将来のフレキシビリティを確保しています。プランの変更に合わせて窓の変更もできるように窓回りの壁も木造となっています。
低炭素時代の住宅のあり方
A・B街区ではK-HALLと同じく外断熱工法を採用し、RC躯体を蓄熱体として活かしています。また、庇などの熱橋となる部分にドイツ製の断熱構造部材を採用し、RC造の弱点をカバーしています。C街区では従来の柱間の充填断熱に加え、外側に付加断熱を行い熱橋を解決しました。建物断熱の弱点になりやすい開口部には全ての街区で断熱性に優れた樹脂窓(YKK AP製)を採用しています。
冷暖房については、通常のルームエアコンだけでなく黒部川扇状地の豊富な地下水の活用を試行しています。A・B街区では敷地内に20mの採熱井戸を掘り、地下水の熱で加温又は加冷された水を住戸の共有壁の中に埋め込んだ細い管に流してRC躯体の温度をコントロールし、補助冷暖房として活用する実験を行っています。